いざ物件を売却したいと思っても、専門家でなければ、どのようなアクションを起こせばよいのかわからないことばかりのはず。そこで大まかな物件売却の流れを、前編・後編に分けてご紹介します。前編の今回は「売却前の準備から不動産会社に依頼するまで」を、武蔵野不動産相談室株式会社 代表取締役/不動産コンサルタントの畑中学(はたなか・おさむ)先生に伺いました。

——不動産の物件を売却する準備としては、何から始めればよいのでしょうか?

「『いくらで売るか』『いつ売りたいか』『どんな条件で売るか』の三つを家族で決めるところから始めましょう。これらのうち『いくらで売るか』はあまりもめませんが、『いつ売りたいか』は夫婦間でも希望が異なることが多いので、しっかり確認・合意しておく必要があります。また『どんな条件で売るか』とは、例えば『どの照明器具を残し、どの照明器具は引っ越し先に持っていくか』『エアコンは置いていくか、持っていくか』『引っ越し費用として、手付金は300万円欲しい』といったことです。

 

次に、必要な書類を準備しておきましょう。具体的には『登記済権利証』もしくは『登記識別情報通知』、家の図面や測量図といったものです。これらがなくても物件を売却することはできますが、『登記済権利証』や『登記識別情報通知』がない場合は司法書士などへの依頼料が別途10万円程度かかります。さらに売却手続きの時間が長くなってしまいます」

——次のステップはなんでしょうか?

「『不動産会社選び』ですね。大手の不動産会社と中小の不動産会社のどちらを選ぶかですが、簡単に売れそうな物件であれば、集客力が高い大手の方がスムーズに売却できるでしょう。しかし、さまざまな事情がある物件、例えば『隣家との境界線が不明瞭』『複数いる相続人の同意が必要』という物件の場合は、小回りがきき、一つの物件に時間をかけて対応してくれる中小の不動産会社を選んだ方がいいと思います。

 

また『不動産会社選び』は、『会社選び』よりも『担当者選び』にこだわってください。物件売却の結果は、担当者次第でまったく変わります。十分な熱意や知識がない担当者に任せてしまうと、高く売ることはできません。『不動産に関する知識・スキル』『自分との相性』『わかりやすく説明する能力』の3点でチェックしてみてください」

——不動産会社と担当者が決まったら、次はどうなるのでしょうか?

「まず、担当者と一緒に売却に向けて『資金計画』を立てます。それから物件の『価格査定』が行われます。その際は担当者に、物件を『すみずみまで』見てもらうようにしてください。これらを踏まえ、不動産会社と売却の仲介を依頼する契約を結びます」

 

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なお、不動産会社との契約は「専任」「専属専任」「一般」の3種類があり、人気のある物件(例:立地がよく、希少性が高い物件)は、複数の不動産会社の競争になる「一般」契約の方が高く売却できるとのこと。

 

逆に不人気な物件は特定の不動産会社1社に任せる「専任」「専属専任」でないと、なかなか売ってもらえないとのことでした。

 

後編は物件の購入希望者対応から、引き渡しまでの流れをご紹介します。

《取材協力》

武蔵不動産相談室株式会社 代表取締役/不動産コンサルタント

畑中 学 先生

 

2018年1月に新著「家を売る人・買う人の手続きがわかる本」が発売されている。

公式サイト http://www.mf-soudan.com/contents/outline.html