不動産コンサルタントの長嶋修さんに聞く「買い替え族」の増加現象

「家の売却」というと、従来は「40代以上がするもの」というイメージがありました。しかし、最近の若い世代の間では、当初から売却を見すえて資産価値の上がりそうな物件を購入し、タイミングを見て買い替え、利益を得る……という「買い替え族」が増えているようです。そんな時代背景と今後の見通しについて、不動産の専門家であり、日本のホームインスペクションの第一人者である株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋修(ながしま・おさむ)さんに伺いました。

最初から売却を見据えて住宅を選ぶ人が増えている

――将来の買い替えを前提に住宅を購入する若い世代は増えているのでしょうか?

 

「たしかに増えていますね。これまでは『マイホーム=プライスレス』ということで、価格が上がろうと下がろうと売らなければいい、という人たちが多かったのですが、最近はそうでもありません。『(将来の売却を考えて)価値が落ちない住宅を買いたい』という層の比重が大きくなっています」

重視されるのは立地。特に駅近が好まれる

――そのような世代が重視するのは、どのようなポイントでしょうか?

 

「それは『立地』ですね。なかでも重視されるのは『利便性』で、『駅から近い』ことが非常に求められています。例えば都心7区(中央、千代田、港、新宿、渋谷、目黒、品川)の中古マンションの成約価格のデータを見ると、5年前までは駅から1分離れるごとに1平米当たり8千円下がっていました。それが最近では、1分離れるごとに1万8千円も下がっています。この背景には『自動車の保有率』が年々下がっていることと、『共働き世帯の比率』が高まっていることがあります。実際、自動車を持たない共働き世帯にとって駅から遠い物件は、保育園の送り迎えや買い物などが不便で非常に使いにくいでしょう。同じ価格の場合、『駅から20分の100平米の物件』より『駅から5分の70平米の物件』が選ばれています。『空間よりも時間を大事にする』傾向がありますね」

買い替えを考えているのであれば、選ぶべきはやはり利便性?

――「将来の買い替え」が前提の場合、どのような住宅を選ぶべきでしょうか?

 

「今後も自動車の保有率は上がるとは考えにくく、共働き世帯が増え続けるであろうことを考えると、『利便性』を求める傾向は変わらないと思います。また最近は郊外の一戸建てに住んでいた団塊の世代も、高齢化とともに駅前のマンションに移住する傾向があります。家族が減れば多すぎる部屋は不要になりますし、車の運転もしなくなれば郊外には住みにくくなるからです。これは東京都心だけでなく、地方都市でも同じ現象が起きています。例えば千葉県の津田沼や神奈川県の海老名などでは、駅前のタワーマンションが相場よりもかなり高く売り出されましたが、すぐに完売しました。将来の『買い替え』を考えるならば、このような流れを踏まえて物件を選んだ方がいいでしょう」

 

ちなみに長嶋さんによれば、近い将来、中古住宅の性能を専門家がチェックし、その性能に応じて売買価格が変わる時代が来るとのこと。その際のポイントは『基礎・構造』、『屋根・外壁』、『省エネ性能』で、例えばドイツでは『この家は冷暖房費がこれくらいかかります』というように『省エネ性能』を数値化することが、住宅を売買する際の常識になっているそうです。

 

省エネ性能が高い建物は通常の建物よりも5〜10%割高ですが、将来の売却時に価値が保たれることを考えれば、そこに投資するのはよい選択でしょうということでした。将来の「買い替え」を踏まえて物件を探されている方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

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<取材協力>

株式会社さくら事務所

創業者・会長

長嶋 修(ながしま おさむ)さん

 

不動産コンサルタント

国土交通大臣認定 公認不動産コンサルティングマスター

宅地建物取引士

 

1999年、『人と不動産のより幸せな関係』を追求するために、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立する。以降、さまざまな活動を通じて『第三者性を堅持した不動産コンサルタント』第一人者としての地位を築く。マイホーム購入・不動産投資など、不動産購入ノウハウにとどまらず、業界・政策提言や社会問題全般にも言及するなど、精力的に活動している。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演など、実績多数。

 

著書:

「住宅購入学入門 – いま、何を買わないか」(講談社+α新書)

「なぜ『耐震偽装問題』は起きるのか」(講談社+α新書)

「空き家が蝕む日本」(ポプラ社)

「不動産格差」(日経プレミアシリーズ)

「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」(日経プレミアシリーズ )など

 

公式サイト:https://www.sakurajimusyo.com/

 

 

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