不動産コンサルタントの長嶋修さんに聞く「資産価値の高い物件」の売り方

将来の「買い替え」を前提で購入した「資産価値の高い物件」を売却する際のコツや注意点について、不動産の専門家であり、日本のホームインスペクションの第一人者である株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋修(ながしま・おさむ)さんに伺いました。

 

大切なのはタイミング。株価に注目を

――「資産価値が高い物件」を売却する場合のコツはなんでしょうか?

 

「現在、『資産価値が高い物件』とは『立地』がよく、『利便性』の高い物件ということになるでしょう。そのような利便性の高い物件を売る場合は、『タイミング』が大切です。例えば都心3区(中央、千代田、港)の中古マンション成約価格の推移を見ると、日経平均(=株価)と密接に連動しています。最近の株価は民主党から自民党に政権が交代して上がり始め、その後しばらく停滞し、トランプ政権登場から再上昇しているのですが、この株価の推移と中古マンション成約価格の推移は、ほぼ同じ軌跡を描いています。そうなる理由の第1は、『景気がいいし、買い替えようか』という『雰囲気・気分』で都心部の中古マンション価格は上下するということです。第2の理由は都心部の中古マンションを購入する層は所得が高く、株式投資をしている比率が高いということです。つまり株価が上がれば、それを売って不動産を買うわけですね。3つ目の理由は購入者の親世代も株式投資をしている可能性が高く、上がった株を売り、そのお金をマンション購入資金として贈与する……という流れがあることです。

 

つまり『利便性の高いマンションを売る場合』は『株価の動向を踏まえて売る』のがいい、ということです。株価がまだまだ上がると考えるなら、もう少し待つのもいいですし、株価が停滞する・下がると思われるなら少し値段を下げても早めに売ってしまった方がいいでしょう。これは都心部だけでなく、郊外でも駅近のマンションなら適用できる方法です。ちなみに新築マンションの価格は供給業者が価格を調整しているので、株価と必ずしも連動しません。また郊外でも利便性の低い(=駅から遠い)マンションについては、株価の影響はかなり遅れたり、一部に留まっています。むしろ一刻も早く売った方がいいでしょう」

 

売主は買主側のホームインスペクションに協力する姿勢が大切

――「ホームインスペクション(住宅診断)」で、物件を高く売ることはできますか?

 

「ホームインスペクションについては、売主側がやる必要はないと私は思います。実は『インスペクション済み』で売り出されている物件について、買主側から当社にインスペクションを依頼されることが非常によくあります。これは売主の行ったインスペクションは信頼できない……というのが、どうしても買主側の気持ちとしてあるからでしょう。ですから、売主側としては買主側のホームインスペクションには積極的に協力しますよ、という姿勢を示せば十分だと思います。また、インスペクションをする買主は、それぞれインスペクションをする動機・ニーズが異なります。主に『欠陥住宅ではないか確認したい』『メンテナンス計画を立てたい』『何年くらい建物が持つか知りたい』の3つなのですが、これを踏まえていない売主側のインスペクションはやはり無駄になってしまうのです」

 

ちなみに長嶋さんによれば、物件を売却する際の査定は「大手」「地元店」「ネット系」など、それぞれ異なる強みをもつ複数の会社に依頼するのがよい、とのことでした。理由は、まず複数に依頼しなければ比較ができないということと、「大手」は「人材・書類」が一定のレベルで安心でき、「地元店」は地域・駅限定でどこよりも強い場合があり、ネット系は仲介手数料が安いなどローコストの魅力があるそうです。

 

なお、極端に高い査定額(他社より1割以上)を出す業者は外した方がよいとのこと。最初に高い査定額を出して依頼を受け、後から下げる作戦だそうです。また「査定額の根拠」と「物件の売り方(=戦略)」を説明してくれる業者を選ぶことも大切、ということでした。「資産価値の高い物件」の売却を検討されている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

 

 

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<取材協力>

 

株式会社さくら事務所

創業者・会長

長嶋 修(ながしま おさむ)さん

 

不動産コンサルタント

国土交通大臣認定 公認不動産コンサルティングマスター

宅地建物取引士

 

1999年、『人と不動産のより幸せな関係』を追求するために、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立する。以降、さまざまな活動を通じて『第三者性を堅持した不動産コンサルタント』第一人者としての地位を築く。マイホーム購入・不動産投資など、不動産購入ノウハウにとどまらず、業界・政策提言や社会問題全般にも言及するなど、精力的に活動している。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演など、実績多数。

 

著書:

「住宅購入学入門 – いま、何を買わないか」(講談社+α新書)

「なぜ『耐震偽装問題』は起きるのか」(講談社+α新書)

「空き家が蝕む日本」(ポプラ社)

「不動産格差」(日経プレミアシリーズ)

「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」(日経プレミアシリーズ )など

 

公式サイト:https://www.sakurajimusyo.com/

 

 

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