マイホーム売却後にローンが残ってしまう場合でも、新しい住宅ローンと一括でローンを組むことができる「住み替えローン」。その仕組みとメリット、注意点を不動産の専門家であり、日本のホームインスペクションの第一人者である株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋修(ながしま・おさむ)さんに伺いました。

残額と一本化できる住み替えローン

――まず「住み替えローン」とは、どういったものでしょうか?

 

「通常、『住宅ローン』は全額返済しなければ、新しいものを組むことができません。『住み替えローン』は現在のローン残額も含めて、新しい住宅ローンと一本化して借りられるものです」

元のローンの金利によっては返済額の負担はそこまで大きくないことも

――「住み替えローン」は、どのような人が使うのでしょうか?

 

「今、まさに住み替えを考えている人にとっては検討する余地があるでしょう。金利や返済期間といった条件も通常の住宅ローンと変わりませんから、使い勝手はよいと思います。特に1990年代以降、日本の金利は下がり続けています。すると10年から20年前に組んだ金利3%〜4%の高い住宅ローンが残っている場合、現在の低金利な『住み替えローン』を組んで住み替えた方が、借入の総額は増えても返済額の負担はそれほど大きくならないケースもあります。しかも新しい家に住めるわけですから、このようなメリットのあるケースが住み替えローン利用の後押しになっているでしょう」

約20年ほど前に登場し、現在は多くの金融機関で利用できるように

――住み替えローンが登場した時代背景は、どのようなものだったのでしょうか?

 

「住み替えローンが登場したのは約20年ほど前です。当時は一部の金融機関しか取り扱っていませんでしたが、現在は多くの金融機関で利用できるようになりました。『住み替えローン』が生まれた背景ですが、バブル景気が崩壊したあと、多くの住宅で『住宅ローンの残額よりも現在の住宅の評価額が低い』という現象が起きました。つまり今の自宅を売っても住宅ローンが残ってしまうために、住み替えることができないという状況があったのです。そこにニーズを発見した金融機関が、古い住宅ローンの残額と新しい住宅ローンを一本化できる商品を開発した……という流れです」

家計的に無理がないか要確認。住み替え先は価値が落ちにくい物件に

――住み替えローンを利用する際に、注意すべきことはなんでしょうか?

 

「まず、ローン返済に家計的な無理がないかという点。それから、新たな住宅ローンに古い住宅ローンの残額が加算されることで、スタート時点から『住まいの評価額』と『住宅ローンという負債』の差が大きくなりますから、住み替え先にはなるべく価値が落ちにくい物件を選んだ方がよいでしょう」

 

ちなみに長嶋さんによれば、これまで日本では住宅の「建物部分」が25年で価値ゼロと評価されていましたが、将来的には専門家が建物の状態を診断し、その時点に発揮されている性能で建物の価値が評価されるようになる(例:もし建築時と同等の性能ならば建築時と同等の価値と見なす)と予想されるそうです。

 

そのような時代に「価値が落ちにくい建物」のポイントは、経年劣化や陳腐化が避けられない「内装」や「設備類」ではなく、「基礎・構造」「屋根・外壁」「省エネ性能」という3項目がしっかりしている建物とのこと。住み替え先を検討する際には、ぜひこの3項目に注目してみてくださいね。

 

 

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<取材協力>

 

株式会社さくら事務所

創業者・会長

長嶋 修(ながしま おさむ)さん

 

不動産コンサルタント

国土交通大臣認定 公認不動産コンサルティングマスター

宅地建物取引士

 

1999年、『人と不動産のより幸せな関係』を追求するために、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立する。以降、さまざまな活動を通じて『第三者性を堅持した不動産コンサルタント』第一人者としての地位を築く。マイホーム購入・不動産投資など、不動産購入ノウハウにとどまらず、業界・政策提言や社会問題全般にも言及するなど、精力的に活動している。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演など、実績多数。

 

著書:

「住宅購入学入門 – いま、何を買わないか」(講談社+α新書)

「なぜ『耐震偽装問題』は起きるのか」(講談社+α新書)

「空き家が蝕む日本」(ポプラ社)

「不動産格差」(日経プレミアシリーズ)

「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」(日経プレミアシリーズ )など

 

公式サイト:https://www.sakurajimusyo.com/

 

 

 

 

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