「タワーマンション」という言葉に明確な定義はありませんが、だいたい20階以上のマンションをさすことが多いようです。その高さは1階あたり約3メートルであり、合計すると建物の高さは60メートル以上ということになります。

 

そんなタワーマンションの現代における資産価値とはどのようなものか、不動産の専門家であり、日本のホームインスペクションの第一人者である株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋修(ながしま・おさむ)さんに伺いました。

 

――「タワーマンション」の資産価値は、今後どうなるでしょうか?

 

「最近のタワーマンションは、『都心に近く、駅近』の場所に建てられています。つまり『利便性』の高い物件ですから、基本的にタワーマンションの資産価値は安定しているでしょう。なぜなら日本の『自家用車所有率の減少』と『共働き家庭の増加』という傾向は当分続き、マンション購買層が最も重視する条件も『利便性』であり続けるからです。スケールメリットを生かした『豪華な共用施設』や『眺望』も、タワーマンションの資産価値を安定させる効果があります」

 

――そのような「タワーマンション」の売却において、不安要素はあるでしょうか?

 

「タワーマンションの歴史は1990年代から始まりました。大量に建設されるようになったのは2000年代前半です。そういう意味では、最近になってようやく『第1回目の大規模修繕(10年〜15年に1回行われれる)』の時期に差し掛かってきたと言えます。この1回目の大規模修繕については、ほとんどのタワーマンションで十分な修繕積立金があるのですが、2回目の大規模修繕はかなり難しくなるでしょう。これはタワーマンションだけに限らず、一般的なマンションでも同様ですが、特にタワーマンションは大規模修繕にかかる費用が高額(通常のマンションの1.3倍〜1.5倍)なので、ほとんどの物件で修繕積立金が足りなくなるはずです。つまりタワーマンションを売る側はそのタイミングを見極めなければなりませんし、買う側はいつ大規模修繕が行われるのか、調べる必要があるでしょう」

 

――2回目の大規模修繕前に売った方が良いのでしょうか?

 

「それは物件によります。たとえば武蔵小杉のあるタワーマンションは50年分の大規模修繕プランを策定し、修繕積立金も十分確保できる見込みが立っています。一方、その隣にあるタワーマンションは管理費や修繕積立金を値下げする方向に走っており、まったく持続可能な計画を立てていません。今はまだ、築10年〜15年ですから問題は顕在化していませんが、2回目の大規模修繕で大変なことになるでしょう」

 

ちなみに長嶋さんによれば、タワーマンションの2回目の大規模修繕では、外壁の修復やエレベーターの交換があり、十分な修繕積立金が無ければ各戸が数百万円単位の負担をしなければならない場合もあるそうです。しかし、「何もしない」という選択をすれば物件の陳腐化は避けられず、結果として貸すことも売ることもできなくなるとのこと。タワーマンションを所有している方は、まずは「大模修繕プラン」を確認した方が良さそうですね。

 

 

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<取材協力>

 

株式会社さくら事務所

創業者・会長

長嶋 修(ながしま おさむ)さん

 

不動産コンサルタント

国土交通大臣認定 公認不動産コンサルティングマスター

宅地建物取引士

 

1999年、『人と不動産のより幸せな関係』を追求するために、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立する。以降、さまざまな活動を通じて『第三者性を堅持した不動産コンサルタント』第一人者としての地位を築く。マイホーム購入・不動産投資など、不動産購入ノウハウにとどまらず、業界・政策提言や社会問題全般にも言及するなど、精力的に活動している。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演など、実績多数。

 

著書:

「住宅購入学入門 – いま、何を買わないか」(講談社+α新書)

「なぜ『耐震偽装問題』は起きるのか」(講談社+α新書)

「空き家が蝕む日本」(ポプラ社)

「不動産格差」(日経プレミアシリーズ)

「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」(日経プレミアシリーズ )など

 

公式サイト:https://www.sakurajimusyo.com/

 

 

 

 

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