「大規模マンション」という言葉に明確な定義はありませんが、最近はおよそ300戸以上のマンションをさすことが多いようです。この目安からすると、首都圏に林立するタワーマンションは500戸〜600戸を超える大規模マンションと言えます。また、かつての郊外では数千戸規模の大規模マンション開発も盛んに行われていました。

 

そんな大規模マンションの現代における資産価値とはどのようなものか、不動産の専門家であり、日本のホームインスペクションの第一人者である株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋修(ながしま・おさむ)さんに伺いました。

 

――早速ですが、「大規模マンション」の資産価値は今後どうなるのでしょうか?

 

「『大規模マンション』と『タワーマンション』は、最近の不動産における人気のキーワードです。なぜなら今の不動産市場では、ほぼ『大規模マンション=タワーマンション』であり、それはすなわち『より都心に近く、駅近の物件』ということになるからです。つまり『立地』が良いので人気がある、と言えるでしょう。現在のマンション購入層が駅からの距離に求める時間はどんどん短くなっています。都心7区の中古マンションの場合、5年前には駅から1分離れるごとに1平米あたり売却価格がおよそ8000円下がっていました。

 

それが今では18000円以上も低下するようになっています。65平米の3LDKのマンションの場合、駅から1分離れるごとに約100万円、5分離れれば500万円は安くなるわけです。この背景には日本における『自動車保有率の低下』・『共働き家庭の増加』があり、その傾向は今後も続くでしょうから、基本的に『都心・駅近・大規模・タワー』という物件の資産価値は比較的安定していると考えられます」

 

――今の「大規模マンション」は、イコール「都心・駅近マンション」なのですね……

 

「現在のマンション購入層のニーズを考えれば、『大規模マンション=タワーマンション』を駅から遠いところに作るのはリスクが大き過ぎて、マンション開発会社も取り組めないでしょう。一方、過去に建設された駅から遠い大規模マンションには、大規模ならではの『充実した共用施設』や『緑豊かな内庭・安全な環境』などのアピールポイントがあります。すべての人が駅近を求めるわけではなく、それ以外の部分に魅力を感じる層も確実に存在しますから、売却時にはその部分を広告・宣伝に取り入れると良いでしょう。郊外の駅から遠い大規模マンションは、駅近のタワーマンションにないメリットで勝負することが大切です」

 

 

お話にも出てきましたが、やはり大規模マンションの最大の魅力はスケールメリットによる豪華な共用施設や充実した植栽です。しかし長嶋さんによれば、マンション管理組合の姿勢によっては、せっかくの噴水が止められていたり、施設のメンテナンスが十分に行われていないなど、マンションの魅力が半減している物件もあるとのこと。将来的に駅から遠い大規模マンションの売却を考えている方は、積極的に管理組合の運営に関わるなど、日頃の努力が必要かもしれませんね。

 

 

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<取材協力>

 

株式会社さくら事務所

創業者・会長

長嶋 修(ながしま おさむ)さん

 

不動産コンサルタント

国土交通大臣認定 公認不動産コンサルティングマスター

宅地建物取引士

 

1999年、『人と不動産のより幸せな関係』を追求するために、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立する。以降、さまざまな活動を通じて『第三者性を堅持した不動産コンサルタント』第一人者としての地位を築く。マイホーム購入・不動産投資など、不動産購入ノウハウにとどまらず、業界・政策提言や社会問題全般にも言及するなど、精力的に活動している。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演など、実績多数。

 

著書:

「住宅購入学入門 – いま、何を買わないか」(講談社+α新書)

「なぜ『耐震偽装問題』は起きるのか」(講談社+α新書)

「空き家が蝕む日本」(ポプラ社)

「不動産格差」(日経プレミアシリーズ)

「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」(日経プレミアシリーズ )など

 

公式サイト:https://www.sakurajimusyo.com/

 

 

 

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