不動産の資産価値とは「物件単体の評価」だけでなく、その物件がある「街全体の評価」に左右されるものです。人気のある街の人口はますます増え、それが不動産価格を押し上げますが、不人気な街ではどんなに駅近でも物件価格は伸び悩むでしょう。

 

そこで今回は不動産の専門家であり、日本のホームインスペクションの第一人者である株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋修(ながしま・おさむ)さんに、最近注目の「資産価値」が上がっている街について伺いました。

 

――ここ最近、首都圏で資産価値が上がっている街はどこでしょうか?

 

「まずは千葉県の『流山市』です。ここは『母になるなら、流山市』というキャッチフレーズを掲げ、人口がどんどん増えています。その結果として税収が増え、ここ10年で市の予算規模は350億円から550億円になりました。つまり予算が200億円も増えたので、さらに行政サービスが充実し、ますます人口が増加するという好循環が起きています。一方で、流山市に隣接する埼玉県の三郷市は、そのような政策をほとんど実施していません。現在の不動産価格は同レベルですが、5〜10年後の不動産価格には大きな差がつくはずです。これからの不動産選びでは駅からの距離といった『立地』だけでなく、自治体がその街の強みを生かし、特徴を打ち出しているかどうかも考慮した方が良いでしょう」

 

――他に注目すべき街はありますか?

 

「『商店街が活発な街』も、不動産の資産価値が高くなる傾向があります。たとえば『千歳烏山商店街』の周辺エリアです。この商店街は非常に元気で、独自のスタンプカードを発行し、そのポイントを地元の金融機関に『現金』として貯金できるといったユニークな取り組みを色々としています。また、高級住宅街的なイメージの広尾エリアにも『広尾商店街』という商店街があり、週末は歩行者天国となって大変な賑わいを見せています。このように栄えている商店街が近くにある不動産は、やはり強いですね」

 

――自治体の経営、商店街……他にも「街の資産価値」が上がる要素はありますか?

 

「意外なところでは、『桜並木』のような『地域の風物詩』も街の資産価値を高めます。明治通りに渋谷区が植えた桜並木があるのですが、その周辺の住人は大変な愛着を持っています。その結果、駅から徒歩10分以上かかる不便なエリアにも関わらず、不動産の資産価値は高くなっています。世田谷区の桜新町エリアも、駅周辺の桜並木がかなり資産価値を高めていると思いますよ」

 

長嶋さんによれば首都圏だけでなく、日本全国でも桜並木があるエリアの不動産の資産価値は高い傾向が見られるはずです、とのこと。やはり日本人にとって、桜は特別なものなのかもしれません。不動産物件の売買を検討する際には、利便性や築年数ばかりでなく、このような他の要素にも注目してはいかがでしょうか。

 

 

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<取材協力>

 

株式会社さくら事務所

創業者・会長

長嶋 修(ながしま おさむ)さん

 

不動産コンサルタント

国土交通大臣認定 公認不動産コンサルティングマスター

宅地建物取引士

 

1999年、『人と不動産のより幸せな関係』を追求するために、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立する。以降、さまざまな活動を通じて『第三者性を堅持した不動産コンサルタント』第一人者としての地位を築く。マイホーム購入・不動産投資など、不動産購入ノウハウにとどまらず、業界・政策提言や社会問題全般にも言及するなど、精力的に活動している。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演など、実績多数。

 

著書:

「住宅購入学入門 – いま、何を買わないか」(講談社+α新書)

「なぜ『耐震偽装問題』は起きるのか」(講談社+α新書)

「空き家が蝕む日本」(ポプラ社)

「不動産格差」(日経プレミアシリーズ)

「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」(日経プレミアシリーズ )など

 

公式サイト:https://www.sakurajimusyo.com/

 

 

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