先日発表された公示地価。売却を検討している人にとって、地価公示はどのような点に注目するとよいのでしょうか? 不動産鑑定士・一級建築士の中山聡さんにお話をお聞きしました。

 

全体的には上昇傾向にある地価

 

――今年の公示地価、不動産鑑定士である中山さんの目にはどのように映ったのでしょうか?

 

「全国規模で見ると上昇傾向にあると感じます。地域別に見ていくと、東京の土地の上昇は落ち着いてきたと感じました。それは地価が天井に近づいてきたということを意味します。それを受けて、地方の不動産に投資をしようという動きが増えてきており、地方が徐々に上がっている状況が見て取れました」

 

東京の地価上昇が落ち着いてきたということは、ここから下がる可能性も十分あり得るという状況ということです。この先を見て慎重かつ大胆に行動することが、いい結果になることがある局面といえると中山さんは言います。

 

売却をするなら注意して見ておきたい2つのポイント 

次に、公示地価の情報を例に、売却検討者が注意しておくべき2つのポイントについてお聞きしました。

 

■変動率は全国平均で見るのではなく、地域ごとに

 

「上昇率や下落率などの変動率は全国平均で出ますが、都市部と地方では大きく違います。また、都市部といっても、大都市、政令指定都市では違った価格の変動過程があります。ですから、全国平均だけを見るのではなくて、東京、大阪、名古屋、政令指定都市、県庁所在地など地域ごとに見ないと判断を誤る可能性があります。たとえば今年、銀座の最高値は3%ほどの上昇率でしたが、地方では10%以上上昇しているところもあります」

 

■地価の下落は、経済・株式動向、金融政策の変わり目から見る

 

売却を検討するなら地価公示とあわせて、経済動向にも注意すべきだと中山さんは言います。

 

「これまでの例では株式市場が下落を始めてから、半年から2年ほど遅れて地価の下落が始まります。株式市場は不動産価格の先行指標となり、株式は経済の状況を反映するので、日本、世界の経済動向、株式動向には注意しておきましょう。また不動産の価格が下落し始めるときは、バブル崩壊もリーマンショックの時もそうでしたが、金融政策が大きく変わります。銀行はそれまで借りてくださいという姿勢だったのが、返してほしいという姿勢に変わるのです。金融機関は金融庁の指導のもとにあるので、金融庁がどういう政策を考えているかチェックすることも必要でしょう。そのサインは新聞なりニュースなりで見つけることができると思います」

 

そのひとつに、日本銀行から先日発行された金融システムレポートがあります。

 

「このレポートによると『不動産業向けの貸し出しが、1980年代(バブル期)なみの過熱サインを示している』と書く一方で、「不動産市場全体がバブル期のような過熱状態にあるとは考えにくい』とも書いてあります。一見、矛盾しているようにも読めるこのレポートですが、日銀のレポートは社会に大きな影響を与えることがあるので、さすがに未来を断言することはせず、どちらともとれるようなことが書いてあるのでしょう。しかし、この先は見通せなくても、少なくとも現在日本銀行は不動産融資に注目していることは、このレポートでわかります。このレポートを受けて、新聞各社は、『バブル期並みの過熱だ』と報道している場合もあれば、『過熱感はないが適切なリスク管理を』と書いている新聞もあります。どちらにせよこのような話題が出てきた場合には、持っている不動産は早めに売却を検討したほうが、あとあといい結果になるかもしれません」

 

売却を検討するのであれば、さまざまな経済動向を見極める視野が必要となりそうです。

 

 

査定依頼をする

 

 

《取材協力》

不動産鑑定士・一級建築士 中山聡先生

わくわく法人rea東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会社代表取締役。

著書には「闘う! 空き家術」など多数

http://rea-tokaihokuriku.com/

 

あわせて読みたい記事はコチラ