「家を売ったら当時の購入額より売却額がかなり下がっていた」という理由で、マイホームの売却損にがっかりするケースは多くみられます。しかし、マイホームの売却損が出た際に利用できる特例について、十分に理解している人は少ないのではないでしょうか。この記事では、マイホームの売却で損失が出た場合に利用できる特例についてお伝えします。特例を利用できれば税金面でお得です。ぜひ読んで活用しましょう。

 

売却損で使える特例とは?

マイホームの譲渡損失(売却損)が出た場合、「①居住用財産の買換えなどを行った時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」と「②特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」という2つが利用できます。それぞれの特徴と具体的なケースについて確認していきましょう。

 

 

居住用財産の買換えなどを行った時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

 

マイホームを買い換えた際、譲渡損失が出た場合に適用される特例です。譲渡損失が出た年の給与所得や事業所得と損益通算して、それでも控除しきれなかった場合、その赤字分を翌年以降の3年間の所得から控除することができます。

 

例えば給与所得500万円(平成30年時点)のAさんが、5,000万円の家を3,000万円で売却し、126万円の売却費用がかかったとします。この場合、譲渡価格-取得費用-費用で、3,000万円-5,000万円-126万円=▲2,126万円の譲渡損失が出ると計算されます。

 

この譲渡損失と、給与所得500万円を損益通算して、平成30年の所得を出します。上記の例の場合、平成30年の所得は500万円-2,126万円=▲1,626万円。所得がマイナスの場合、所得税はゼロであり、平成30年の源泉徴収税は全額還付されます。

 

▲1,626万円の譲渡損失は平成31年、平成32年、平成33年への繰越控除が認められるので、平成30年と同様に給与所得との損益通算を行っていきます。給与所得が変わらない場合、平成31年、平成32年、平成33年も所得はマイナスとなり、平成31年、平成32年、平成33年の源泉徴収税も全額還付されます。

 

≪特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除≫

 

住宅ローンの残っているマイホームを、住宅ローン残高を下回る価額で売却して譲渡損失が出た場合に適用される特例です。

 

譲渡損失が出た年の給与所得や事業所得と損益通算して、それでも控除しきれなかった場合、その赤字分を翌年以降の3年間の所得から控除することができます。譲渡損失の損益通算の限度額は、住宅ローンの残高から売却額を引いた残りの金額です。

 

例えば6,000万円で購入し、ローン残高が3,000万円あるマイホームを2,000万円で売却したとします。この場合、3,000万円から2,000万円を引いた1,000万円が損益通算の限度額です。

 

譲渡損失1,000万円が、売却した年の損益通算でも控除しきれなかった場合は、①のケースと同様に売却した年の翌年以降の3年間への繰越控除ができます。

いずれの特例も適用期限が平成31年12月31日までと定められていますので、ご注意ください。

 

特例を適用するための条件

2つを適用するためには詳細な条件があります。ここからはその条件について確認しましょう。

 

(1)2つの特例に共通する条件

・自分が住んでいるマイホームであること

自分が住んでいるマイホーム(譲渡資産)であることが条件です。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡する必要があります。

・マイホームを売る年の1月1日時点でマイホーム所有期間が5年を超えていること。

・繰越控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること

・売却した相手が親子や夫婦など特別の関係がある人ではないこと

・確定申告を行うこと

 

(2)「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」に特有の条件

・新しい家(買換資産)に、買った年の翌年の12月31日までに居住すること、またはその見込みであること。

・新しい家を買った年の12月31日において、新しい家に10年以上の住宅ローンがあること。

・新しい家は日本国内にあり床面積が50平方メートル以上であること。

 

(3)「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の特有の条件

・譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームについて償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること。

・マイホームの譲渡価額(売却額)が上記の住宅ローンの残高を下回っていること。

 

住宅ローン控除を併用すればさらに節税可能に!

 

住宅ローン控除とは、毎年12月31日の住宅ローン残高もしくは住宅の購入金額のいずれか少ない方の金額の1%が所得税額と住民税額から控除される制度で、その控除期間は10年間です。

 

住宅ローン控除制度は、今回紹介した特例との併用が可能なので、さらに節税効果が期待できます。ただし、損益通算および繰越控除で課税所得がゼロになった年は、当然ながら住宅ローン控除による減税はありません。

 

マイホームの売却損が出たら特例を活用しよう

 

譲渡損失の特例は、マイホーム売却での損失を税制面でカバーできる制度です。課税所得がゼロになるなど、大幅な節税効果が期待できます。特例を受けるには必要となる条件を満たした上で、確定申告をする必要があるので注意してください。今回ご紹介した内容がマイホーム売却時のご参考になれば幸いです。

 

 

査定依頼をする

 

 

《執筆》

中村裕介

1983年福岡生まれ。主に不動産と旅行系の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を運営している立場から、不動産に関する記事を執筆しています。宅地建物取引士資格者。

 

 

あわせて読みたい記事はコチラ