国税庁が毎年7月に発表する路線価情報は、道路に面している標準的な宅地1m2あたりの評価額です。ここ最近は上昇傾向にあり、18年の発表数値は日本全体で0.7%プラス(17年比)と3年連続で上昇中。また東京都の上昇率は4.0%、千葉県が0.7%、神奈川県0.6%、埼玉県が0.7%となっています。

 

今回はそんな路線価について、そもそもどういったものなのかという解説や、最近の路線価上昇が不動産売却におよぼす影響などを、ホームインスペクションで有名なさくら事務所の不動産コンサルタントである田中歩(たなか・あゆみ)さんに伺いました。

 

──まずは「路線価」について教えてください

 

「そもそも路線価とは相続税を算出する上での評価基準として、国税庁が発表するものです。インターネットでも簡単に検索できますが、地図上に1m2あたり1000円単位で表示されます」

 

──路線価の動きは不動産を売却するタイミングに、どう影響しますか?

 

「その前に、『不動産は一物四価』という話をさせてください。これは不動産には『4つの値段』があるということです。一つ目が『時価』。その不動産が実際にいくらで売れるか、という市場価格です。

 

二つ目が『公示価格』。これは国土交通省が、ある地点の毎年1月1日時点の価格で『一般の土地取引の指標』として発表するものです。三つ目が『路線価』。これは先ほどの公示価格のおおむね8割くらいの価格で国税庁が公表するものです。

 

四つ目が『固定資産税評価額』。これは公示価格のおおむね7割くらいの価格で算定されます。このように『路線価』は実際の取引価格よりも低く、さらに1年前のデータを使って算出されますから、その土地の価格が現在、下がっているか、上がっているかは、発表時点の数値ではわからないのです。

 

従って、私の考えでは不動産を売却するタイミングを考える上で、あまり路線価の推移を考慮する必要は無いと思います。最近、日本の不動産価格が上昇し始めたのは2013年2月の日銀・黒田総裁による異次元緩和スタートからでした。

 

その結果、住宅ローンの金利がおよそ2%から1%以上、低下したのです。これにより、例えば従来は3000万円しか住宅ローンを借りられなかった人が、3600万円くらい借りられるようになったので、不動産価格が上昇したのです(東京都内のマンション価格は2割から3割ほど上がりました)。

 

ですから、売却のタイミングを考えるならば、路線価の推移よりも『これ以上、住宅ローンの金利は下がるだろうか』『いつ、日銀の異次元緩和が終わるだろうか』を考えることが大切でしょう」

 

 

田中さんによれば、そろそろ住宅ローンの金利低下も打ち止めと考えるなら、それが売却のタイミングになるということでした。「住宅ローンの金利低下=不動産価格の上昇」であるならば、たしかに住宅ローンの金利が1%を切っている現状は、すでに「金利の下限(=不動産価格の上限)」まで来ているのかもしれませんね。ぜひ、今回の記事を不動産売却の参考にしてみてください。

 

 

 

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《取材協力》

株式会社さくら事務所

不動産コンサルタント 田中歩さん

・NPO法人日本ホームインスペクターズ協会理事/公認ホームインスペクター

・宅地建物取引士

・公認不動産コンサルティングマスター

・国家資格1級ファイナンシャル・プランニング技能士

 

公式サイト:https://www.sakurajimusyo.com/

 

 

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