【前編】住宅ローン滞納はキケン! 任意売却の基礎

住宅ローンを滞納していると、早ければ3か月ほどで一括返済を求められる可能性があります。さらに返済ができないとマイホームは差し押さえられ競売へ。競売にかけられると市場価格の5〜6割程度で募集が始まってしまうと言われています。

 

そんなとき強い味方となってくれるのが、任意売却。その仕組みについて、任意売却の専門家、杉山善昭さんにお話を伺いました。

 

■売却金額より住宅ローンの残債が多い場合でも、売却できる「任意売却」

 

「本来、不動産を売却するときには残っているローンを全額精算しなければなりません。不動産売却の金額よりも、住宅ローンの残債のほうが多い場合は、どこかからお金を工面しないと売ることができないわけです。

 

任意売却というのは、その不足するお金を出さなくても不動産の売却ができる、特別な売却方法です」と杉山さん。

 

──任意売却をするために何か条件はあるのでしょうか?

 

「住宅ローンの返済が3~6ヶ月程度遅れている方で、管理が銀行から保証会社に移った方が対象となります。通常、銀行からお金を借りて住宅ローンを組んでいる場合は、保証会社が保証人としてついています。

 

住宅ローンが回収できなかった場合は、保証会社が銀行に残債を支払うシステムになっているのです。その保証会社が少しでも貸し倒れ金が少なくなるように歩み寄って協力するというのが、任意売却の基本的なスタンスです。

 

保証会社をつけていない融資の場合は、銀行又はサービサー管理の元で任意売却を行うことになります」

 

──では任意売却を行い、売却代金だけでは返済しきれない金銭が発生してしまった場合は、その後どのような流れになるのでしょうか?

 

「実務上『毎月の返済額を決め、保証会社に返済していく示談のパターン』と、『自己破産して支払いを免除してもらうパターン』の二つがあります。

 

自己破産ではなく示談にしたいと要望する方が多いのですが、月の支払いが大きく家計を圧迫するようでは本末転倒ですから、家計の状態を元に、よく考えて決めていただくのがいいと思います」

 

■任意売却と通常の売却の違い

 

──保証会社の許可がおり、任意売却に進む場合、通常の不動産売却と違う点はあるのでしょうか?

 

「基本的な不動産売却の手続きについては、通常の売却と変わりありません。不動産会社を選定し、販売活動に入っていくことになります。ただ、違う点もいくつかあります。

 

通常、不動産を売却する場合は売主が勝手に値段を決めることができますが、任意売却の場合は事実上、債権者である保証会社が値段を決めます。販売価格が高すぎると売れにくいので債権者である保証会社にメリットがありませんし、安すぎると回収できる金額が減るのでやはりメリットがありません。そのため金額や販売計画について不動産会社が債権者と折衝することになります。

 

他の相違点としては、物件に保証がつけられないという点です。通常の不動産売買は、購入後に雨漏り等が見つかった場合は売主が保証をする仕組みがありますが、任意売却の物件は売った金額がすべて返済にまわってしまうため売主は保証することができません。

 

仮に同じような物件が二つあった場合はどうしても保証のある物件が選ばれる傾向があります。その辺りを考慮し、価格の設定をする必要があります。目安としては通常の物件に比べ5~10%安くなってしまうことが多いです。

 

また任意売却と通常の不動産売却の一番大きな相違点としては、住宅ローンの貸し倒れ処理をされた日から、年14%を超える遅延損害金が課せられるが多く、例えば3000万円の残債があった場合、1日1万円を超えるペナルティーがかかる計算になります。

 

速やかに適正な価格で売ることが必要になってきますので、高く売ることにこだわりすぎないことが重要です」

 

 

このように任意売却は、一般的な売却とは違い細かい調整が必要になってくるケースも多いそう。そのため不動産会社選びは注意が必要とのことです。後編では不動産会社選びのコツや、任意売却の注意点について伺います。

 

 

 

 

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《取材協力》

任意売却の専門家 杉山善昭先生

杉山善昭の不動産ワクチンがなぜいま必要か?」著者

https://www.e-lifestage.info/

 

 

 

 

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