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安定の賃貸経営を実現させるには、入居者に住み続けてもらうことが重要となります。では、入居者に選ばれる物件には、どんな特徴があるのでしょうか? ここでは、日頃から入居者の意見を直接聞いている不動産会社が安定経営の実現する物件の設備や施工のポイントを実例で紹介。費用対効果の高い施工術で、安定経営を目指しましょう。

事例10:埼玉県さいたま市「SORAMICHI」

2年前

狙うべきは「暮らしにこだわる人」!質のいい入居者を集める仕組みとは~「SORAMICHI」の取り組み

さいたま新都心駅から徒歩14分の場所にある、ワンルーム、1LDKで構成された8戸の集合住宅「SORAMICHI」。“中庭と空を眺める住まい”というコンセプトのもと、全戸の玄関がレンガ敷きの緑豊かな中庭を取り囲むように設計されており、敷地に一歩入れば住民だけの別世界が広がる。

さらに同物件は全戸にバルコニーがなく、かつ建物内に限らず敷地内は「全て」禁煙と、思い切った取り組みがハード、ソフト両面でなされている。郊外地で駅から14分とやや不利な条件ながら家賃設定は駅から10分圏内の物件とほぼ変わらない。それでも募集一カ月半で満室になった理由とは何か。オーナーのKさんと、ハウスメイトパートナーズの東京営業部課長の谷尚子さんに、さまざまな「仕掛け」について伺った。

物件名:SORAMICHI
所在地:埼玉県さいたま市(最寄り:さいたま新都心駅)
2017年築/ロフト付きワンルーム(24.02m2〜24.32m2)、1LDK(45.21m2〜46.81m2)
コラボレーター:ハウスメイトパートナーズ・SPEAC

単身、共稼ぎ二人暮らし世帯にはバルコニーより「自由に使える空間」を

左:SORAMICHI外観。中庭はあえて段差を作ることで空間に広がりを持たせている
右:玄関。中庭で使われたレンガはそのまま建物内の土間まで続いており、中庭と家が繋がっているような空間を演出している。

――SORAMICHIを作られた経緯について教えてください。

Kさん:もともとは妻が両親から相続した土地がありました。それまでは駐車場として大型トラックなどに貸していましたが、私自身が不動産関連の仕事をしているので、集合住宅を建ててみようということになりました。そこで、谷さんからは管理会社としてエリアの状況や必要とされる設備などについてご意見をいただき、設計事務所SPEACさんに設計していただいた形です。

最初は本当に住宅にするのかどうするのか迷っていたんです。建築的には土地の状況から法律上1ルームと1LDKを混ぜないといけないことや、高さの制限、さらに郊外駅から14分という立地に周辺の賃貸物件の空室など、色々と検討しなければいけない要素がありました。SPEACさん以外にハウスメーカーさんや他の設計事務所さんにもお話を伺ったのですが、ハウスメーカーさんなどの建築はしっかり仕様が決まっていて間取りをはじめとする諸条件をかなえるのが難しくて。最終的に自由度の高いSPEACさんにお願いしました。

SORAMICHI外観。レンガ敷きの中庭

私自身が東京在住なので土地の状況把握と建てるコンセプトや実際の仕様を考えるため、さいたま新都心には何度も通いました。夜、周辺を訪ねて電気のつき具合などを見て、結構空き家が多いなとは思いましたね。でも、空いている物件には何かしらの理由があると感じ、“入居者満足”を意識した自分の中のこだわりを譲らずに折り合いをつけて物件を建てれば、勝てる勝算がありました。「いい物件があれば埋まる」と確信していましたので、マーケティングと差別化を徹底しました。部屋の配置や間取りについても、1Rタイプでも住人の導線を考えてこだわりぬきました。賃貸経営は長年にわたる事業なので、「ちゃんと考える」ことは大切です。

仕切りのないワンルームにすることで、通常の1.5倍の天井高による開放感が引き立っている

――ハウスメイトパートナーズの谷さんからは、管理会社ならではの視点でアドバイスを受けたとのことですが、Kさんから見て意外だなと思った点はありますか?

Kさん:やはり「バルコニーはいらない」という点ですね。思い切ったアイディアだなと思いました。

谷:SORAMICHIのワンルームは単身者、1LDKは共働きでお子さんがいない世帯を想定して作られています。そうなると洗濯や布団干しを昼にする機会が殆どないので、中途半端なバルコニーはいらないと思ったのです。他の物件でもバルコニーがただの室外機置き場かゴミ置き場になってしまって開かずの窓になったり、鳥の糞だらけになったりと、あのスペースが無駄になっているケースはとても多いんです。また、都心の住宅密集地の場合、窓を開けたら向かいの住居が目の前にあるのでそもそも窓を開けづらいことも多いですよね。カーテンも閉めっぱなしになったり。

さらにバルコニーを作るのはお金がかかりますし、今回は敷地を最大限利用して計画していたため、バルコニーの分部屋は狭くなってしまいます。同じエリアの駅近くでも25平米ある物件が多くありますので、今回は一部屋25平米近くまでは欲しかったんです。バルコニーがない代わりに室内物干しと洗濯物が乾かせる土間のエリアと、浴室乾燥機をつけています。

ロフトは広い窓から光があふれている。電源も確保されているため、“おまけ”的なものではなく、きちんとした生活空間として活用できる

Kさん:あと、谷さんからは宅配ボックスは必須とお話がありましたよね。電子式でなく、ダイヤル式の。

谷:そうですね。管理会社ですので、物件を見回っている時に宅配ボックスの荷物の入れ忘れや出し忘れの対応をすることがあるのですが、電子式の宅配ボックスだと壊れた時やトラブルがあった時に大変なんです。特にSORAMICHIの場合、宅配ボックスを雨風のある屋外に置くため、アナログなダイヤル式を提案させていただきました。

――宅配ボックスは単身、共働き世帯に人気の設備のひとつですが、実際の利用状況を把握したうえで最適な仕様を提案できるのが管理会社ならでは強みですね!

谷:そうですね、トラブルが減れば入居者さんの住みやすさにも繋がるので、細かいところですが大事です。

禁煙にするなら「室内禁煙」でなく「敷地内禁煙」に

左:ワンルームのキッチン。あえてシンクの下は棚にせず、レンガを敷くことで空間に広がりを出している
右:階段のついた1LDKタイプのお部屋はカウンターキッチンを採用。高い位置に窓があり、光があふれる

――SORAMICHIはタバコが室内だけでなく、敷地内すべてにおいてNGなんですね。

Kさん:はい。社内では大丈夫か?という心配の声もあったのですが、副流煙の問題もありますし、敷地内すべて禁煙にすることで初めて禁煙の意味が出るのだと思います。

谷:タバコにより変色した壁紙は張り替えればいいんですが、それだけじゃないんですね。エアコンやインターフォンなどが黄色く変色してしまいますし、匂いは根強く残ります。特にこの物件は天井を高く取っているので、天井まで煙がのぼって匂いが染み込んでしまうと張り替える壁の㎡数がかなり多くなってしまいます。ホテルなども喫煙の部屋に入るとすぐわかりますよね。

室内のみ禁煙という物件もありますが、結局ベランダで吸う人は吸ってしまいます。SORAMICHIはバルコニーは有りませんが、中庭で喫煙する人がいれば吸殻の問題や煙や臭いの問題が出る可能性が有り、「せっかく禁煙の物件だから」と選んだのに意味がなくなってしまいます。なので、やるなら徹底的にしようと決めていました。

ホテルライクな洗面台

――室内設備にもこだわりがあり、DIYが可能な壁が設置されていますよね。

谷:はい。壁に設置できる自転車フックやシューズラックなどの購入方方法や設置イメージが分かるようにSPEACさんにパンフレットを作って頂きました。DIYの際は申請書を出していただく形ですね。こういった、「DIYができる」や「敷地内禁煙」などの住まいの設備や仕組みを事前に作りこんでおくことで、暮らしにこだわる質のいい入居者さんに入っていただけるというメリットもあります。

DIY 可能壁。自由に棚や自転車フックその他を設置することができる

わずか1~2年でも、どう暮らすかによって物件の状態は大きく変わります。タバコを室内で吸うか吸わないかは大きいですが、小さなところでは流しに缶詰の缶ごみをずっと放置していて、シンクに錆がこびりついてしまっていたりとか。デザイナーズマンションでお風呂がガラス張りになっていて、清掃では落としきれないくらい水垢がついた状態で退去されたというケースもありますね。

――デザイナーズマンションに住む人だと、大切に住みそうな人が多いような気がしますがそうとも限らないんですね。

谷:はい。なので、SORAMICHIのように、住居の外観や内装、そしてルールなどのソフト面で「入居者を選抜する」という視点も、長期的な賃貸経営においては必要ですね。

――「大切に住もう」と思う人が自然に集まる住まいを、ルールも含め設定しておくことが大切なんですね。SORAMICHIを作るにあたり、苦労されたことはありますか?

Kさん:やはりこだわると高くなるということですね。ちょっとのこだわりが「×8戸」になってしまいますので。「こだわりたいところ」と、「同質でコストを下げられるところ」をひとつひとつ検討して決めていきました。細かい調整をいかに徹底できるかが、収益と、さらには入居者の方の満足につながる重要なポイントだと思っています。デザインに関するところだけでなく幹線道路が近いので防音性に優れたペアガラスを使うなど、こだわるところはこだわりました。

谷:分譲の物件にもよく使われるペアガラスは防音性だけでなく結露にもなりにくいので、SORAMICHIのような天井高があり高さがある窓のついた物件にはふさわしいと思います。

――物件が2月に完成し、3月中に全戸満室と、募集はとても順調だったようですね。

Kさん:設計されたSPEACさんが「物件の魅力」を入居希望者さん向けに資料としてまとめてくださったんです。何も知らずに訪れた見学者の方にも、設計会社ならではのこだわりが伝わるものでした。チラシは建築を学ぶ学生さんにも配布され、勉強の参考になっていたようです。他にはSORAMICHIは天井高がワンルームで3.46mと通常の賃貸住宅の約1.5倍あり開放感があるんです。ただ、間取り図ではそれが伝わりませんので写真の見せ方などは注力しました。

――「敷地内禁煙」は問題にならなかったんですね。

谷:はい。びっくりするほどまったく問題になりませんでした。こちらの物件でうまくいきましたので、他の物件でも敷地内禁煙の物件の展開も進めています。

――今後、『SORAMICHI』をこうしていきたいという計画はありますか?

Kさん:中庭も含め植栽は、例えば長期的に階段に蔦がからまるように設計していたり、とこだわった箇所です。ですが、こまめなメンテナンスが必要なので住んでいる方のどなたかに植栽を管理するかわりに家賃を引く、みたいな形でできないかなとは考えています。もともと中庭は住民同士がコミュニケーションが取れるよう水道なども設置しているので、住民同士のコミュニティーも形成していければいいですね。

谷:綺麗に、かつ長く住んでくれる借り手さんに住んでもらうための仕組みをソフト、ハード面両方で事前に備えておくことがその後の安定経営につながっていきます。ハスウメイトパートナーズでは、今回の事例のように管理会社としての経験、実績を活かし、かつエリアの状況に沿ったご提案ができますので、どうぞお気軽にご相談ください。

関連サイト:SORAMICHI(https://www.sora-michi.jp/


株式会社ハウスメイトパートナーズ

谷 尚子さん

2000年にハウスメイトグループに転職。仲介営業、仲介店長、管理の現場担当者、管理支店の同社女性初の支店長を経て、現在は東京営業部にて仕入れ営業に従事、賃貸住宅の企画や収益改善を行なっている。金融機関、業界団体等での講演多数。公認不動産コンサルティングマスター、CFPR・1級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士。

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