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step3.さあ、いよいよ賃貸経営の始まり。自分が主体になり、心豊かな賃貸管理を【五十嵐未帆さん】

3週間前

「経営者意識」を持ち、チーム体制で臨む

「ゼロから学ぶはじめての賃貸経営」第3回は、『賃貸管理』についてです。物件は購入して終わり、ではありません。いよいよこれからが大家業・賃貸経営の始まりです。物件を購入する時も、不動産会社や金融機関、管理会社など、多くの人と情報を交換し、信頼関係を築いてきましたが、管理業においてもそれは変わりません。そして誰かの言いなりになったり、従うのではなく、大家という立場でどうしていきたいのか。明確な姿勢を示すことが大切です。満室にするには何をすればいいのか、利益が上がらないのはなぜか。誰かが手取り足取り教えてくれるわけではありません。自分で原因や理由を見極めて、考えて、動かなければならない。その中で、仲介会社に情報を求めたり、管理会社に修繕をお願いしたり、自分がチームの中心に立って、コントロールしていくことが必要です。

大家は物件を通じて、収益を生み、入居者の生活にも関わっている。とても責任のある立場です。その点では「経営者」とも言えますし、「経営者意識」を持つことが、大家業に必要となります。

例えば、自分で管理ができないと、管理会社の言い値で高い修繕費を支払うことになったり、空室対応と称して、家賃を下げられたりすることもあります。しかしそれでは利益は上がりません。自分が主体となり、対策を講じていかなければならないのです。

だからといって、自分の主張を一方的に押し付けるのも間違っています。管理会社の担当者にとって、自分の物件は何百戸も管理しているうちの、ごく一部です。他にも多くの物件を担当し、日々、忙しく動き回るうちのいくらかの時間を、自分の物件のために充ててくださるのです。謙虚な姿勢で物事を考えてみると、自分のわがままで無駄な作業を押し付けるようなことはなくなるでしょう。私はいつも、相手の意見も聞き、一番効率よく、無理のない対応をお願いすることを心がけています。

賃貸管理は、自分と管理会社や不動産会社が一緒になったチームで進めていくものとも考えられます。自分一人でできることは限られていますが、チームとしてまとまれば、できることも広がります。チームのメンバーがいつも気持ちよく動けるよう、感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。

主張を押し付けず、「オトナの対応」を

でも、時にはこちらの主張を通さなければならないこともあります。私はもともと父が保有していた物件を引き継いだので、父の代からお付き合いのある地元の不動産会社さんがいました。時折、訪問する時は、菓子折りを持参し、感謝の気持ちを伝え、信頼関係を保ってきました。

ただ世代が変わるとビジネスも変化します。顕著なのが、インターネットへの対応です。父の世代の不動産会社さんでは、なかなかイマドキのやり方には変わりません。でもこちらの言い分を一方的に強く伝えても、反感を買うばかり。「お店の窓ガラスに情報を貼るだけでは、なかなか入居者が集まらないから、インターネットに広告を出したいんですよね」とやんわりと伝えると、相手も自分のやり方の至らなさを認めてくださいます。「ああ、そうだね。五十嵐さんのやりたいようにやっていいですよ」と言っていただければ、私も気持ちよく新たな一歩を踏み出せます。これまで通りのお付き合いがなくなっても、同じ地域でビジネスをすることに変わりはありません。相手の反感を買うと、その地域で仕事をしにくくなることもあるので、ここは「オトナの対応」を心がけましょう。

入居者の情報を把握し、喜んでもらえる部屋作りを

入居者対策としては、その部屋にどんな人が入居してほしいのかコンセプトを決めて、モデルルームを設けています。壁にアクセントクロスを貼ったり、ラグに机やクッションを置くだけでも、何もない殺風景な部屋よりもイメージがアップ。入居者の目に留まりやすくなります。

ただ、長い入居を望むのなら、立地や周辺環境など、物件そのものの力がモノを言います。駅からの距離、夜道の明るさ、コンビニやスーパーの有無。入居者が住みやすい物件であれば、入退居も少なく、安定した賃貸経営につながります。新築物件の家賃設定は、まだ賃貸に出ていないので、不動産会社が一方的に決めてくることもありますが、相場と合っていないこともあります。そこで周辺の不動産会社を調べて、適切な家賃を設定するようにしています。

さらに、入居者の名前、年齢、勤務先、年収、家賃などを明記したレントロールも作っています。これにより入居率や家賃の下落率がわかりますから、問題のない物件であれば、売却時のアピール材料になります。また、大家として滞納はできるだけ避けたいものです。年収も把握しておけば、家賃との関連性で、生活に無理がないかどうかがわかります。ちょっと心配な入居者がいれば、気にしておくようにしています。

そして退居の連絡が入ったら、退居理由や退居日をメモします。結婚による退居が多い物件なら、入居すると結婚しやすい「寿物件」として、不動産会社にアピールできます。また、退居の連絡があってから、次の入居者を見つけてくるまでの不動産会社の入居付けのスピードもチェックし、各社の実力も見極めています。

一方、入居希望者や入居者には歓迎の気持ちを示しましょう。モデルルームにウエルカムボードを置いたり、入居の際にお渡しする設備説明書のファイルの一番上にお礼状をはさみ、私からの気持ちを伝えています。大家の顔が少しでも感じられれば、安心して暮らしてもらえるのではないかと思っています。

SNSを活用し情報発信することで新しい視野やノウハウを享受できることもある

そのほかに私はSNSを活用しFacebookやブログで情報を発信し、自分自身のノウハウ、管理の状況や困ったこともオープンにしています。すると皆さんからのコメントが付き、解決策や不動産会社の方などのプロの意見も伺えます。例えば、高いと感じた修繕見積もりを投稿して適正な価格を皆様からアドバイスいただくこともありましたし、原状回復費が高いと感じていることを投稿したら、特約に退去時エアコン清掃費借主負担をつけることができることを教えていただいたこともありました。

SNSに書いておくことで、同じように困っている方の役に立つことができます。また、履歴として残り、後から検索できます。以前の情報でも、今、困っている方に役立っているかもしれません。

困っている方の力になりたい、という点では、これから増える高齢者や外国人の入居についても実践されている方の本を読む、セミナーで直接お話を聞く、実際の現場を見学させていただくなどして勉強しています。これから高齢者はどんどん増えていきます。一人暮らしでアパートに入居される方も増えるでしょう。また加齢に伴い身体機能、認知機能が衰え障害、 病気を抱えた何かしら配慮が必要な方への住宅供給がますます必要になっていきます。赤尾宣幸氏・鈴木かずや氏著の「高齢者向きアパート経営法」では、1階のほうが便利が良い、駅から遠くても問題ない、狭い部屋の方が、とっさにつかまるところがあるので転びにくく、空調が効きやすい、トイレが近いことや、デイサービスで入浴してくるので、自宅の浴室は使わない。3点ユニットバスでも事足りるなど、多くの人がデメリットと感じていることも高齢者目線で物件を見ると、メリットや改善点が見えてくることが書かれています。成功している大家は、すでに先を見越して動いています。常に新しい視野を持つことが賃貸管理には大切だと思います。

そして毎回お話していますが、賃貸経営にお金と時間を得て、何をしたいのか。どんな風な幸せを思い描いているのか。そしてそのために自分は、何ができるのか、自分なりの軸を持って動くことを大切にして、よりよい大家業に励んでいただければ、と思います。


五十嵐未帆さん

2005年、父親の急逝により、自身が相続した築32年のアパートと家族が相続した2棟を含む3棟を管理する大家となる。ワーキングマザーとして3児を育てながら管理。相続した1棟の賃貸収入が財務コンサルタントとして働く給与とあまり変わらないことに気づき、2011年大家業に専念。それまでの所有物件だけでなく、不動産投資も開始し、9棟購入5棟売却1棟築古フルリノベーション経験。現在、実妹の1物件を含む7棟59室を管理。

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