引っ越しといえば、とにかく出費はつきものです。だからこそ、月々発生する家賃や管理費だけでなく、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用を契約前に把握することが大切になります。少しでも費用を抑えるための手段にはどのようなものがあるでしょうか。前回に引き続き、都内勤務の新社会人2人に、住まいを決める際の交渉術について、実体験を語っていただきました。
――入居したお部屋の賃料はズバリいくらでしょう?
Yさん「7万千円です。本当はもう少し家賃を抑えたかったのですが、部屋の設備を優先したので仕方ないですね。家賃は妥協しました」
Mさん「私は8万円です。でも希望は6万円だったんですよ。会社の先輩がそれくらいの金額で探したほうがいいというアドバイスをくれて。でも気に入った物件が、駅まで徒歩6分で、都心までのアクセスがよい物件で、なんだかんだで2万円もオーバーしてしまいました(笑)。会社の引っ越し準備金が出る期日も迫っていたので、半ば勢いで契約した感じす」
2人とも賃料は、希望していた金額より高くなってしまったようです。立地や設備を優先すると、予算オーバーは避けられないのかもしれません。不動産会社は希望賃料よりも少し高めの物件を勧めてくる場合もあるので、希望賃料よりも少し安い金額を伝えたほうが、結果的に理想とする賃料に近づくかもしれません。
――管理費・共益費はいくらですか?
Yさん「9千円ですね。学生時代はアパートに住んでいてこの金額よりも安かったのですが、現在はマンションにグレードアップしたので。これくらいの管理費は仕方ないのかなと思いました」
Mさん「私は5千円です。、家賃と合わせたらトータルで8万5千円。ちょっとこれは厳しいかもと不動産会社に言ったのですが、『この条件でこの金額は妥当』と言われました。あまりに条件がよく、安い物件はおとりの場合もあるので、相場とよく見比べた方が良いとアドバイスをいただきました」
住む物件のグレードが上がるほど、管理費・共益費も比例して上がります。しかし、家賃同様、毎月発生する金額なので安いに越したことはありません。家賃+管理費・共益費の合計金額を考え、お部屋探しをするのがよいでしょう。WEBに掲載されている良い条件で安い物件は、不動産会社に行く前に一度電話で確認してみるのがよいでしょう。
――初期費用はいくらかかりましたか?
Mさん「40万円かかりました。高すぎですよね……」
Yさん「僕は20〜25万円でしたね。敷金は発生しなくて、礼金だけでした。あとは仲介手数料を払いました。」
初期費用では敷金礼金だけでなく、仲介手数料や前家賃。細かなところでいうと火災保険などの損害保険やカギの交換費用を求められることも……。交渉次第である程度予算を抑えることができる可能性もありますが、もともと設定されている条件などをしっかり確認すれば「こんなにお金がかかるなんて!」という事態は回避できます。
――お部屋を決める際に、家賃交渉はしましたか?
Mさん「交渉しました、一応。でも、家賃を下げることはできませんでした」
Yさん「僕も交渉しました。学生時代に不動産管理会社でアルバイトをしていたので交渉できるポイントはなんとなくわかっていました。まず家賃はそこまで下がらないなと。一度下がったら上げられないですからね。なので、狙ったのは初期費用でした」
不動産会社や大家さんと金額交渉するポイントがわかっていれば、減額に成功する可能性は高まります。Yさんが言うように、月々発生する家賃は大家さんからしたら下げたくないもの。しかし、交渉されることを見越して、少し上乗せした金額を設定している場合もあるので、一度交渉してみるのも手だと思います。
――交渉の結果、いくら減少できましたか?
Mさん「結構粘ったのですが、不動産会社が強気でまったく家賃を下げてくれず……。結局もともと設定された金額のまま契約しました。でも住んでみて、この部屋自体は気に入っているし、後悔はないですよ。家賃が高い分、頑張って働こうという気持ちになれますし(笑)」
Yくん「3万円くらい減額できました。狙ったのは仲介手数料です。。これなら半額くらい減額できるんじゃないかって、あらかじめ予想を立てて交渉しました」
仲介手数料に目をつけたのはいいポイントですね。不動産会社を挟んで契約した場合、仲介手数料はだいたい1ヵ月分。それを不動産会社と大家さんで半分に分けるのですが、大家さんへは礼金を払っているため、交渉の余地があります。「仲介手数料半額」の物件もありますが、これは意外な落とし穴。礼金をしっかりと取られてしまえば、結果的に損をしてしまう可能性もあるので要注意です。
金額交渉の成功と失敗は、その仕組みを知っているかどうかで大きく変わります。交渉の仕方は物件によってさまざまですが、月々発生する家賃なのか、それとも初期費用なのかをきちんと見極めることが、金額交渉を成功させる近道になるでしょう。社会人1年目は何かとお金が必要な時期。少しでも出費を抑えられるよう、ぜひ頑張って交渉してみましょう!