一人暮らしをするための部屋を借りるときには、部屋を貸してくれる大家さんと賃貸契約を結ぶことになります。専門的な言葉も多く、つい言われるがままに署名捺印してしまいそうですが、それが後日トラブルになることも! 契約時に戸惑わないよう事前にチェックしておきたいポイントをまとめました。
重要事項説明・契約って何?
部屋を借りるときには、まず入居申込書を提出し、その書類をもって入居審査が行われます。その審査に通ったら、賃貸契約を結ぶことで、はれてその部屋に住むことができます。ただし、どんなに気に入った部屋だからといって、ただ言われた通りに契約すればいいというわけではありません。契約の前には、重要事項説明といって「あなたが住むのは、こういう部屋ですよ」という確認をする作業があります。その内容を承知納得した上で、大家さんと部屋を貸し借りする約束をするのが契約です。つまり、それらの書類に署名捺印したということは、提示された条件を理解し、納得したということ。あとになってから「難しい言葉ばかりでわからなかった」「聞いてなかった」なんて言うのはNG。しっかりと内容を把握した上で契約を結ぶ必要があります。
重要事項説明書・契約書のチェックポイント
賃貸契約では、通常、取引を行う不動産会社の宅地建物取引主任者が重傷事項説明書や契約書を読み上げていきます。その場で聞いただけでは内容を把握できないことが多いもの。事前にコピーをもらい、内容を理解し、疑問や質問をまとめておくようにしましょう。また、ご両親など信頼のおける人に読んでもらって、おかしな点がないか確認してもらうと安心です。特に次のような点は住みはじめてからトラブルにつながりやすいので、よくチェックしておきましょう。
(1)家賃・管理費(共益費)・支払方法・滞納時の延滞料
家賃・管理費の額に間違いはありませんか。家賃の支払方法では、振込等で手数料がかかる場合にどちらが負担するのかも明確にしておきましょう。また、家賃を滞納した場合には延滞料がかけられる場合があります。
(2)更新条件
更新期間・更新料・家賃の値上げの有無を確認しましょう。更新は2年おき、更新料は家賃1ヶ月分というのが一般的です。
(3)解約手続
その部屋を退去するときにはどのくらい前に届け出なければならないのか、また月の途中で退去する場合の賃料の支払方法を確認しておきましょう。退去の1ヵ月前の申告が一般的です。
(4)敷金精算の条件
最もトラブルとなりやすいのが敷金。入居者には原状回復義務(借りたときの状態にして明け渡す)がありますが、この基準が不動産会社や大家さんによって曖昧なため、トラブルがよく起こります。また、「特約」といった形で、本来であれば貸主が負担すべき費用を借主に負担させる記載があることもあります。契約の段階で、どの範囲までどちらが負担するのかをできるだけ明確にしておきましょう。
(5)設備およびその修繕
物件の設備にあたるものはどれなのか、また、それらが故意や過失ではなく故障した場合は、どちらが負担をするのか確認しましょう。また、そういった場合の連絡先(管理会社か、大家さんか)も聞いておくと安心です。
暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー:河野真希
ウェブや雑誌など各種メディアで、料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを目指すライフスタイルを提案。著書に『ひとり暮らしの季節ごよみ』(祥伝社)、監修本に『家事のお手本-大人のたしなみ賢いくらし(泉書房)』『頑張らなくても素敵に暮らせる「夜だけ家事」で快適シンプル生活(双葉社)』などがある。河野真希オフィシャルサイト